SalesforceのCRM Analyticsで作成したダッシュボードは、組織内のユーザーと簡単に共有できます。
しかし実際には「共有したのに見えない」「アクセス権が足りない」といった問題が起きやすいです。
本記事では、ダッシュボードを共有する際に確認しておきたい観点を整理します。

ダッシュボードを含むコレクションの共有

ダッシュボードを単独で共有しても、ユーザーがアクセスできない場合があります。
その原因のひとつが「コレクションの共有設定」です。

  • ダッシュボードはコレクションに含まれて管理される
  • コレクション自体を共有対象のユーザーまたはグループに対して公開する必要がある

コレクションを共有し忘れると、ユーザーはダッシュボードにアクセスできません。

ダッシュボード保存時のアプリケーション設定

ダッシュボードを保存するときに、どのアプリケーションに紐づけるかを指定します。

  • 「マイアプリケーション」に保存した場合、作成者本人しか利用できない
  • 「共有アプリケーション」に保存することで、他のユーザーとも共有できる

意図的に「共有アプリケーション」に設定しておくことが大切です。

ダッシュボードで使用しているデータアセットの共有

ダッシュボードが参照するデータアセット(データセットやレシピなど)も、同様にアプリケーションに紐づきます。

  • ダッシュボード自体が共有されていても
  • データアセットのアプリケーション設定が「マイアプリケーション」だと他ユーザーは参照できない

そのため、ダッシュボードの前提となるデータアセットも「共有アプリケーション」に配置する必要があります。

ユーザーに必要な権限セットが付与されているか

もうひとつ忘れがちなのが、ユーザー権限です。
ダッシュボードやデータアセットが正しく共有されていても、ユーザーに必要な権限が付与されていなければ表示できません。

代表的な権限セットと含まれる主要権限

CRM Analyticsでは以下の権限セットがよく利用されます。

🔹 Analytics Cloud Integration User

主に データ連携や外部接続 を行うユーザー向け。

  • データフローの実行
  • 外部データ接続の利用
  • データセットの作成・更新
  • データインポートの実行

🔹 Analytics Cloud Security User

セキュリティや共有管理 を担うユーザー向け。

  • データセットの共有ルール管理
  • 行レベルセキュリティ(RLS)の設定
  • アプリケーションへのアクセス制御
  • ユーザーやグループ単位での共有設定

🔹 Einstein Analytics Explorer

ダッシュボードを利用・参照するユーザー 向け。

  • ダッシュボードの参照・探索(Explore)
  • データセットを元にした基本的なフィルタリング
  • コレクションへのアクセス
  • 保存されたダッシュボードの閲覧

🔹 Einstein Analytics Platform Admin

管理者権限 を持ち、全体を統括できるユーザー向け。

  • アプリケーションの作成・削除
  • データセット・レシピの作成・管理
  • ダッシュボードの作成・編集・共有
  • 他ユーザーへの権限付与

まとめ

CRM Analyticsのダッシュボードを共有する際は、以下の4つの観点を必ず確認しましょう。

  1. ダッシュボードを入れているコレクションの共有
  2. ダッシュボード保存時のアプリケーション設定が「共有アプリケーション」になっているか
  3. ダッシュボードで使用しているデータアセットのアプリケーション設定が「共有アプリケーション」になっているか
  4. ユーザーにCRM Analyticsの権限セットが付与されているか
  • Explorer 権限 → ダッシュボード参照用
  • Integration User 権限 → データ連携用
  • Security User 権限 → 共有・セキュリティ管理用
  • Platform Admin 権限 → 全体管理用

これらを押さえておくことで、「共有したのに見えない!」というトラブルを防ぐことができます。

投稿者 てきとうSE

普段はシステムエンジニアとして、SalesforceなどのSaaS製品と日々向き合っています。

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